無料で利用できるシステム監視ソフトウェア7選&サービス8+2選(後編)
前編では監視ソフトウェアをご紹介しましたが後編では監視サービスをご紹介します。『監視サービス』というと有人監視を想像される方もいらっしゃるかと思いますが、今回ご紹介するのは監視ソフトウェアでいうところのデータ集約とモニタリング、検知をクラウドで提供しているサービスとなります。有人監視の場合は障害発生時にメールや電話でシステム担当者に報告する流れになるかと思いますが、クラウドサービスの場合は事前に指定したメトリクス(指標データ)の閾値に応じてメールやSlackといったビジネスチャットにアラートを上げる自動検知サービスとなります*1。
サービス
※基本的には無料プランをベースとした説明となります。
1.Mackerel
株式会社はてな 様が運営するサーバー監視サービスです。名前の由来は明らかに鯖(サーバー)の英語名かと思いますが、公式で言及はされていないようです。無料では5台のサーバーを登録でき、それぞれ1台あたり200メトリクスまで利用できます。エージェントがCPUやメモリなどの基本的なメトリクスを自動で投稿してくれ、さらに公式で公開されているプラグインを使用すれば様々なミドルウェアのメトリクスも投稿することができます。10個のメトリクスに対しアラートを設定することができますが、WEBサイトの監視は有料となります。
2.Uptime Robot
30秒で監視が始められるWEBサイト監視サービスです。無料プランでは5分毎にHTTPステータスコードを確認してくれます(有料プランは1分おき)。ステータスコードが400~や500~になるなどサイトの異常が確認された場合は30秒後にさらに詳細な確認を行い、最終的にはアラートを送信します。無料にも関わらず50サイトまで登録でき、ログは2ヵ月間保持されます。モバイル用のiOS, Androidアプリも提供されており過去のサイトダウン履歴が手軽に確認できます。開発者向けに監視を操作できるWEB APIも公開されているようです。
3.Pingdom
Uptime Robotと同じWEBサイト監視サービスです。EvernoteやAirebnb, Slackなど世界的に有名なサービスでも利用されています。Uptime Robotとは違い監視間隔や異常を検知した際の挙動を細かくカスタマイズできますが、監視対象は1サイトのみです。Freeプランのアカウント作成ページは通常のページとは異なりますのでご注意ください。無料でもオンライン(メール)であればサポートして頂けるようです。有料プランはStarter, Standard, Advanced, Professionalという4つが用意されており、様々なサービス規模や要件に答えられるようになっています。こちらもモバイルアプリが提供されています。
4.New Relic
New Relicには以下の6つのプロダクトがあります。
製品名 | 説明 |
---|---|
APM | アプリケーションのパフォーマンス監視 |
INFRASTRUCTURE | サーバーの状態監視 |
BROWSER | ブラウザーのパフォーマンス監視 |
MOBILE | iOS, Androidアプリのパフォーマンス監視 |
SYNTHETICS | WEBサイト監視 |
INSIGHTS | 上記プロダクトのメトリクス、イベントをリアルタイムで分析・視覚化 |
APM&INFRASTRUCTUREがMackrel、SYNTHETICSがUptime RobotやPingdomに近いサービスとなっています。エージェントはGo, Java, .NET, Node.js, PHP, Python, Rubyから選べるようです。APMとINFRASTRUCTUREに無料プランが見当たりませんが、有料のトライアル期間が過ぎるとLite(無料)プランにダウングレードされるようです*2。SYNTHETICSは無料の場合はPing監視のみとなります。
5.GotSiteMonitor
無料ではWEBサイト監視サービスのみ利用可能ですが、有料であればFTPやMailサービスの監視やアラートの詳細な設定ができるようになります。サイト自体は非常にシンプルですが監視対象5サイト、監視間隔10分、SMS通知など先のUptime RobotやPingdomに負けず劣らずのサービス内容となっています。
6.Status Cake
こちらも無料ではWEBサイト監視サービスのみ利用可能ですが、有料プランではサーバー監視に加えてウィルススキャンまで行ってくれるようです。API連携サービスであるZaiperを使用するとSlackやTwitterと手軽に連携することができます。
7.Datadog
サーバー5台まで無料で利用できる監視・分析サービスです。エージェントはPythonで実装されています。海外の監視サービスですが日本語のドキュメントが揃っているのが有難いです。が、メトリクスの閾値が超えた際のアラートが無料プランにはありません。
8.SavaMoni.
株式会社ネットアシスト 様が運営する無料のサーバー監視サービスです。サーバー5台まで無料で利用でき、WEB APIも用意されているそうです。監視項目はFAQから引用させて頂きますが以下の通りです。もちろん障害を検知した際はメール等で通知されます。
監視対象サービス
死活監視(Ping)
TCP21(FTP)
TCP22(SSH)
TCP25(SMTP)
TCP80(HTTP)
TCP110(POP)
TCP143(IMAP)
TCP443(HTTPS)
TCP123(NTP)
TCP53(DNS)
監視内容
CPU使用率
空きメモリー容量
空きディスクスワップ容量
空きディスク容量
送信トラフィック
受信トラフィック
ロードアベレージ ※Linuxのみ
エージェントの対応サーバーはLinuxはCentOS6,7とRHEL6,7、Windowsは2008(R2), 2012(R2)だそうです。
[AWS]CloudWatch
最後におまけでAWS上の監視サービスをご紹介します。Amazon EC2はメトリクスをCloudWatchに送信していますのでCloudWatch上でグラフ表示やアラート(Alarm)設定が可能です。データポイントはデフォルトでは5分間隔ですが、メトリクスによっては詳細な設定で間隔を1分にすることができます。
[AWS]Route 53 ヘルスチェック
Route 53のヘルスチェック機能でエンドポイント(URL)の監視ができます。アラートの送信については先のCloudWatchと連携することで可能です。料金はヘルスチェック 1 件につき 0.50 USD*/月で、HTTPSなどのオプション機能は1件につき 1.00 USD/月です。エンドポイントがAWS以外の場合はさらに割増しとなります。他にもDNSフェイルオーバーなどの魅力的な機能もあります。
八雲文庫におけるシステム監視について
八雲文庫では
- Mackerel
- Uptime Robot
の2つのサービスでそれぞれサーバー・ミドルウェア監視とWEBサイト監視を行っています。特にMackerelはプラグインのためにChefのレシピが公式から公開されているので、Chefによって環境を自動構築している八雲文庫とは非常に相性が良かったこと、エージェントが特別な実行環境を必要としないGo言語で実装されていることが主な選定理由です。それぞれの監視を実際に導入するのに半日もかかっていないと思います。
監視サービスは営利を目的としていますので監視項目や機能によっては有料となりますが、複数のサービスを組み合わせることでご自身の要件に見合う監視を無料で実現することができます。お使いの環境との相性によっては思った以上に手軽に利用できるので、監視ソフトウェアの導入だけではなく監視サービスの利用も検討し監視コストを少しでも下げましょう。